「火の国熊本」に集う大会
第99回令和6年度全日本盲学校教育研究大会
熊本大会運営委員長 仲山 加津恵
(熊本県立盲学校長)
新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年度愛媛大会は中止、令和3年度栃木大会と令和4年度富山大会はオンライン開催、令和5年度北海道大会のハイブリット開催を経て、京都大会以来5年ぶりの参集型開催となります。昨年度の北海道大会はオンラインで1,600人ほどの参加者があったと伺い、本研究会会員の多くが研究会に参加できたことは、素晴らしいことだと感じました。時代や価値観の変化を感じつつも、熊本大会では、従来の開催形式に一旦戻し、集うからこそ伝わる空気感、深まる協議、互いの繋がりを求め、現地参集型開催に踏み切る決断をいたしました。お忙しい中ご出席いただきました、文部科学省、熊本県教育委員会、熊本市教育委員会はじめご来賓の皆様、ご協力いただきました皆様に心より感謝申し上げます。
前回の熊本開催は、昭和5年の第9回大会でした。それから94年の時を経て、今回第99回目の全日本盲学校研究大会を熊本の地で開催し、全国の皆様をお迎えできますことを嬉しく思っております。この間、大会においてその時々の視覚障害教育についての実践報告や協議がなされてまいりました。熊本大会では、〜Society 5.0へ 新たな時代を見据えた指導の在り方〜を研究主題とし開催いたします。全体会講演には、熊本県立盲学校卒業生で、アメリカサンディエゴ在住、世界初「ブラインドセーリング」で無寄港太平洋横断に成功した岩本光弘様をお招きし、『挫折からの復活:信念の力と人生の転機』と題しご講演いただきます。教育においては、「主体的な学び」「課題発見」「解決手段を模索する探究活動」を通じ身につける能力・資質の育成、世界に新たな価値観を生み出す人材輩出が求められています。全国から視覚障害教育に携わる方々が集う今大会で、視覚障害教育の主流を感じとり、大会2日間が今後の各校における教育実践に生かすことができる、実り多い時間となりますことを願います。
さて、各地で次々と起きる自然災害の復興もままならない中、今年元旦の能登半島地震が発生しました。あまりにも大きな被害に虚しさと、自分の命を、他人の命をどうやったら守ることができるのか、被災地に対しできることは何なのかと改めて自問自答することとなりました。犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表し、また被災された方々へのお見舞いを申し上げます。
平成28年4月の熊本地震では、熊本地震視覚障害被災者支援特別委員会が5月に立ち上がり、その後、非常時等に役立つネットワーク組織として、平成29年に視覚サポートネットワークみるくまネットに移行、視覚障害者に対し全体的な支援が届くようになりました。令和2年7月球磨川流域豪雨災害に見舞われた際には、みるくまネットを通じ、被災された視覚障害者へ、白杖、音声時計、弱視レンズ等の必要物資を避難先に届ける活動が行われました。日頃からネットワークで繋がることの重要性を感じました。
今大会は、熊本のシンボル的存在の熊本城をすぐそばに感じる熊本城ホールで開催いたします。熊本地震で被災した熊本城の完全復興はまだまだ先のことではありますが、堂々とした姿でお迎えいたします。熊本は、「火の国」「水の国」とも言われ、阿蘇、天草、日本三大急流である球磨川等、豊かな自然に恵まれています。また、食文化としては、馬刺し、辛子蓮根、熊本豚骨ラーメン、だご汁やいきなり団子等が名物で、熊本市は地下水を利用した美味しい水道水も名物といえます。また、昨年に引き続き、熊本県代表として全国高等学校総合文化祭岐阜大会に出場します熊本県立盲学校アンサンブル部がオープニングで歓迎の演奏をいたします。実りある研究大会となることを祈念しつつ、熊本大会終了後は、記念すべき第100回令和7年度東京大会にバトンを渡します。