研究の継続は未来を明るく照らす

                 第98回令和5年度全日本盲学校教育研究大会

                 北海道大会運営委員長  野戸谷   睦

(北海道札幌視覚支援学校長)

 新型コロナウィルスによるパンデミックに世界中が震撼し、3年の月日が流れました。学校教育はもちろん国中がその対応にあたってきました。私たちにとってはじめての経験は、人と人のつながりの大切さ、さらにどのように人と人をつないでいくかという社会の在り方の根本について考えるきっかけとなりました。中央教育審議会の論点整理「2030年の社会と子供たちの未来」には「予測できない未来に対応するためには、社会の変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、一人一人が自らの可能性を最大限に発揮し、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していくことが重要である」と述べられていました。

 今回、全日本盲学校教育研究大会北海道大会は、参集とオンラインによるハイブリッド式での開催です。本研究会は、これまでオンライン開催により研究の灯を絶やすことなく、全国からの研究発表、研究協議の場を継続してまいりました。今年度は、コロナウィルス感染症拡大の状況を見極めながら、参集とオンラインによる運営を組み合わせ新たな開催方法を試行する会となります。14年ぶりの北海道大会です。本来ならばすべての皆様に北海道にお集まりいただき、北海道の夏空のもと、研究発表、協議を深めていただくところではありましたが、完全な収束ともなっていないこともありオンラインを積極的に活用しながらの大会運営といたします。このような状況ですが本大会が全国のつながりを継続しつつ、研究を次の段階に進める大会となるようよう準備をしてまいりました。本研究大会の研究主題、「新しい時代の創り手を育む~持続可能な令和の日本型盲学校教育の構築~」は、盲学校教育の未来を見据えた主題です。参集とオンラインによる新しい時代の研究手段により主題に迫ることができるのではないかとも考えております。

 今回の経験は、予測できない未来への対応、教育はもちろん広く社会全体にとっても必須の課題であることを認識することとなりました。中教審の指摘のとおり、社会の変化には、主体的に向き合って関わり合うことが大切です。ではその具体的な方策をどうするか、それは「新しい時代に向かって研究的であり続けること」にその答えの一つがあるのではないでしょうか。本研究大会での講演、研究発表、研究討議は、様々な課題を見通す力につながっていくことでしょう。新しい時代の新しい大会となります。2日間どうぞよろしくお願いいたします。